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第45話

  4日経った。   咲良の荷物は纏まっている頃だった。   咲良はまた海森祭音の元を訪れていた。 「まぁた、いるよ」   先に人が居た。 「寛貴」 「こんちは」 「寛貴、いきなりだけど、僕は明日、イタリアに飛ぶ」 「・・・・・・・4日間来ねぇと思ったら・・・・」 「君のおかげかも知れない」 「は?」 「僕じゃ、咲夜をどうにも出来ない。気付くのが遅すぎた。僕等も既に、あの家に狂わされている。両親だけが可笑しいんじゃない。とっくに、もう僕等もオカシクなってると思うんだ。咲夜をどうにか出来るのは君だ、青空」   咲良は微笑した。 「咲夜ちゃんが、そんなこと頼まれるほどガキだとも思えないが?」 「・・・・・・・・でも、これが、狂った“弟”の業だから」   咲良の想いは、きっと、咲夜には届かないのだ。そうして、目の前の男には、尚更。   ブラインドの向こうには晴れ渡る青い空。生憎白い雲があって快晴とは言えないが、咲良はこの風景が好きだった。 「分かった。任せろ。土産よろしくな」 「ああ」  咲良は笑った。

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