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第48話
隼汰はさっきまで読んでいた本を開く。、本は不均等になっている。
聞こえるのは時計の針の音と、紙を捲る音、布団の衣擦れの音。
コン コン
ノック。隼汰は「いいですよ」と言った。
「失礼、大城隼汰 クン」
――えーっとね・・・・、そーだな。色が白くて、髪は青っぽいけど黒くて長めかな――
色が白くて、青を帯びた黒い髪は長め。偶然だろう。だってこの人は――男。女みたいだけれど。
「君は・・・・・・」
この人は、自分の
「久し振り」
何よりの証拠 右目の眼帯。
うっすら浮かべる微笑に、悲しみと憂いがみえた。
一歩一歩と近付いてくる、少年。左の瞳にみえるのは、憎悪と、愉悦。
動けなかった。折れた骨の所為、違う。これは、恐怖にも似た。
「君をヤるのは、俺じゃない」
気付けば、間近。
腹部に走る衝撃に、目の前は真っ白とも真っ黒とも言えない何かに覆われた。
――昔は、ヒマワリの花が好きだった。花っぽくなかったけれど。黄色が空が青いときにきれぇだったのと、種が美味しいのと、写真の中で笑っていた、ヒマワリのワンピースの母さんがすげぇ気に入ったから。
桜は・・・・・アイツは嫌っていたけれど、二人で作った桜ゼリーはマズかったけれど。
二人で見にいった夜桜がすごい綺麗だったから
だからオレ、ヒマワリと桜が好きなんだ――
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