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第5話
「サック~?大丈夫?」
ぼやけた視界が焦点を取り戻していく。ジュンタが俺の顔を覗き込んだ。
「・・・・・・・・」
「貧血だろうな」
咲良が片膝をついて俺を支えている。
「ごめんな、サックー・・・・」
起き上がろうと思ったけれど、下半身に鈍痛が走った。咲良が力強く俺を抱きしめている。
「な・・・・んで」
声が掠れている俺。
「待たせちゃって・・・・・。もっと早く見つけてあげられれば・・・・」
俺の手を握って、俯くジュンタ。
「・・・・・俺・・・が・・・勝手に待って・・・・ただけ・・・だから・・・」
「・・・・・・ごめん」
「俺・・・・どうなって・・・・んの・・・・?」
「サック~の声が聞こえて・・・・・。探し回って・・・・教室行ったら、咲良ちゃんがサック~抱えてて・・・・・・・」
俺と咲良の行為は見られていなかっただろうか。ジュンタは作ったような笑みを浮かべて俺の髪を撫でた。
「帰ろう・・・・?大丈夫?歩ける・・・・?」
ジュンタが俺に手を伸ばした。咲良から救うように。
「うん・・・・・大丈夫・・・・・っ」
がんがんと響く腰を誤魔化すように、ジュンタの手を掴んで立ち上がった。
「大城に掻き出してもらえ」
耳元で吐き捨てるように咲良がそう言った。
ジュンタは訝しげに俺等を見ると携帯電話を取り出して、どこかに電話を掛け始める。
「大城」
咲良はジュンタの背後から携帯電話を取り上げる。
「いい。僕の世話役が校門付近で待ってる。家までは送る」
「え・・・・」
ジュンタは驚いたように目を見開いた。咲良が自身より背の低いジュンタの耳に口元が届くように屈んだ。そして「咲夜をチーマー関係に巻き込むな」と言っているのが聞こえた。余計なお世話だと思ったが、ジュンタが咲良を庇うのは目に見えているため何も言わなかった。
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