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第八話
自分の指で乱れはじめた伊太郎に、万蔵はなぜだか温かい気持ちになった。
「伊太郎が尻で感じてるとこなんて、見られるとは思ってなかったなぁ。魔羅 からも涙をこぼしてやがる」
感慨深く言う万蔵に対し、薬で敏感になった伊太郎はどんどんと余裕がなくなっていく。指を二本に増やされても、まだ刺激が足りない様子だった。
「あっ、ふぅっ……観察してねぇで、もっと、掻いて……そこ、変だ……痒くって仕方ねぇ……っ」
「悪い。つい見惚れちまった」
「……っ、馬鹿、見惚れるような顔でもねぇやい」
客観的には平々凡々の顔だが、万蔵からしてみると愛しくて仕方がない。拗ねた顔も可愛く思えて、ペチャっとした鼻に口付けをした。
「俺にとっちゃ江戸一だ。声は抑えときな。長屋中にお前の可愛い声が聞こえちまう」
万蔵は指を引き抜くと、新たにいちぶのりを口に含んだ。とろみのついた唾液を刺激で開いたままの伊太郎の尻に垂らし、指で馴染ませる。
「指増やされるのと、魔羅つっこまれるの……どっちがいい?」
万蔵の問いに、伊太郎は身体をよじりながら答えた。
「魔羅、つっこんでくれ……っ、指で足りる気が全然しねぇ」
「薬のせいもあるだろうが、初めてなのに随分と助平だな。俺もそろそろ、眺めてるだけじゃ限界だ。挿れるぞ」
万蔵は奥を目指し、一物を差しこんだ。みちみちと音を立てるほど内部は狭い。
指とは比べものにならない圧迫感に、伊太郎の肌は冷や汗を噴き出した。
「万蔵さん、つらい、裂けちまう……!」
「伊太、悪い……っ、もう止まらねぇよ」
熱く絡みついてくる粘膜に、万蔵は我を忘れて腰を振りたくった。苦痛に歪む顔を前にしても、どうにも止められない。
せめてもの慰めにと口吸いをすると、伊太郎の身体のこわばりがふっと緩んだ。
「ちっとは楽になったか?」
「痛ぇのはなくなった……でも、違和感がすげぇ。お願いだ。もっと、口吸ってくれ……そうしたら、気がまぎれる」
潤んだ目でねだられ、一気に体温が上がる。万蔵は舌を乱暴に捻じこみ、腰を打ちつけた。伊太郎が圧迫感で呻いても、止められない。
「伊太……っ、いくぞ。勝手してすまねぇ……っ、お前もすぐに楽にしてやるからな……」
ひときわ大きく打ちつけると、万蔵は伊太郎の奥深くに腎水 を放った。
冷静になり、万蔵は自分のした身勝手さにぞっとした。伊太郎の乱れた髪を整え、冷たくなった頬に手をあてる。
「伊太、せっかく身体を許してくれたのにすまねぇ。尻痛くねぇか? すぐ抜くから、腹壊す前に便所に行ってこい」
一物を抜こうとすると、伊太郎は万蔵の手をとり首を横に振った。
「あとでいい。まずは楽にしとくれよ。このままじゃ、いくら暗くたって外に出らんねぇ。捕まっちまうよ」
伊太郎の手によって導かれた中心は萎えることなく、硬さをたもっていた。
「伊太……」
「へへ、びっくりはしたけど、全然よくなかったわけじゃねぇんだ。だから、そんな情けない顔しねぇでくれよ。いっつも自信満々な万蔵さんらしくない。ほら、いつまで怖い顔して、おいらの魔羅握ってんのさ。楽にしてくれんだろ?」
指をすべらせるだけで伊太郎の口から甘い声が洩れてくる。
雫で濡れた中心を擦っていると、埋めこんだままの万蔵の一物がだんだんと首をもたげてきた。
「……おいらも助平みたいだけど、万蔵さんも大概だな。ふふ、次はもうちっと、甘ぇのがいい」
「おう。虫歯になるくれぇ甘くしてやるから、覚悟してな」
優しくできる自信はないが、これ以上愛おしい弟弟子に情けない姿は見せたくない。万蔵は余裕たっぷりに笑うと、お気に入りの平たい鼻に口付けた。
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