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第96話
『あ、ごめん、ちょっと切るね』
電話を切られてしまった。何なんだ。
もう知らん、とスマホをクッションに投げつけた。
別にイけなくないし。前でも普通にイけるし。
そう思い、オナニーを再開する。
が、幾ら擦っても一向にイけないのだ。
気持ちいいのは気持ちいいんだけど… 物足りないと言うか。
後ろがヒクヒクと疼いて仕方がない。
変にエッチな気分になってしまい、後に欲しくて堪らない。
こんなの変だ。俺はもう前だけでは満足出来なくなってしまったのだ。
ショックよりも、フツフツと怒りが湧いてきた。
投げつけたスマホを取り、画面を操作する。無料電話アプリで先生の名前をタップして電話をかけた。
『茜くん?さっきは切っちゃってごめんね、どうした…』
「どうしたもこうしたもないよ!」
『なんか怒ってる?俺なんかしたっけ?』
「怒ってるわ!」
電話に出た先生はこの少しの間で怒っている俺を理解できてないみたいだった。
まぁそうだろう、俺が勝手に怒っているんだから。
「先生のせいで… 先生のせいでおれ、…前だけでイけなくなっちゃったじゃんか!」
『はは、』
そんな自分が情けなくて、ちょっと涙が出てきた。 半泣きになっている俺と、はは、と笑う先生。
こんなにも対照的なのか。
「責任取れよな…」
『ッ?!』
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