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第99話
「猫耳…」
「そ!猫耳付けて、接客する時は語尾に『ニャン』をつける!これお約束ね!」
「にゃん…」
え、え…?
俺、働く場所間違えた…?
母さんは知っていて俺をここに…?
俺もどんな店か深く聞かなかったのも悪いが、母さんも母さんだ。
いいのか?!もう高校生になった息子が猫耳つけて語尾に『ニャン』を付けてもいいのか!?
こんな女子高生が憧れるようなお洒落なカフェが、人手不足の理由がわかった気がする。
しかし来てしまった以上帰れないし、ましてや母さんの元同僚だ。途中放棄して帰るなんて常識のない事はしない。
俺は猫耳カチューシャを付け、店長に向き直った。
「よろしくお願いします」
にっこりと笑顔を作ったが、たぶん引きつっている事だろう。
店長はそんなの気にせず嬉しそうにしていた。
「あ、あと茜くんのお母さんから『茜が着替えたら写真送って!』て頼まれてるから1枚撮っていいかな?」
「え、母さんが? まぁ…いいですけど」
心配なのかな… 初バイトだし。
母さん少し心配性な所があるから。
「はい、にゃんこのポーズ」
「にゃ、にゃんこのポーズ…?」
にゃんこのポーズが分からなくて、招き猫みたいなポーズになってしまった。
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