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第102話
そうして数日が経ち、仕事にも慣れてきた。
今日から先生も夏休みらしく、家庭教師のバイトも再開するそうだ。
やっと会えるんだ、とルンルン気分でバイトに向かう。
「おはようございます!」
「おはよ、茜」
「拓馬(たくま)くん、おはよう!」
彼は司波 拓馬(しば たくま)くん。俺の1つ上の先輩で、なんと通っている学校が同じだった。
先輩だけど、とても可愛らしい。クリクリの目に、小さな鼻、形のいい桜色の唇。色白で、髪は綺麗なブロンドで襟足が少し長めだ。
まるで西洋人形のよう。
俺がこのバイトを続ける理由は拓馬くんがいるからでもある。可愛いんだよ、癒しなんだよ。
「拓馬くん、今日も可愛い」
「茜くんも可愛いよ。今日は一段とご機嫌なようだし。何かいい事でもあったの?」
「えへへ、ナイショ!」
俺と拓馬くんの会話を聞きながら、店長は膝をつき、祈り出した。
一体どうしたというのだ。
高田さんは困った顔をして苦笑している。
「天使がおる…」
「「は?」」
「気にしないで下さい。そろそろお店開けましょう」
高田さんの指示に従い、店前に看板を出し、CLOSEからOPENへ表札を直した。
バイトが終わったら先生に会える!頑張ろう!
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