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第109話

*** 今日はバイトがお休みで、家でゴロゴロしていた。 テレビを見たり、ゲームをしたり。エアコンの効いた部屋でアイスを食べる。至福の時間だ。 外ではセミが煩く鳴いている。暑そうだなぁ、今日は絶対に外に出ないぞ。 そう心に決めていた。 お昼過ぎ。ご飯を食べながら、ふとテーブルにスーパーの広告と一緒に置かれたチラシを見つけた。 それは近くの神社で開催される花火大会のチラシだった。 そう言えばそろそろだよな。 日程は…って今日じゃん! 花火大会かぁ… 行きたいような、行きたくないような… 正直、行きたい。先生と一緒に。 でもあの人混みを想像すると酔ってくる。 というか、先生は暇なのだろうか。大学生って夏休みも忙しいイメージがあるけれど。 誘ってみようかな… 大きく深呼吸して、先生に電話をかけてみる。 ドキドキする… 『はい、茜くん?どうしたの?』 「せ、先生!あの…あの……」 『ん?』 誘いたいのにテンパってしまって、頭の中がゴチャゴチャで中々言い出せない。 早く言うんだ!頑張れ俺! 「あの!花火大会!行きませんか!」 『花火大会…今日だっけ。 いいよ』 「ほんと?!」 いきなり誘ったというのに、OKしてくれた。 電話を切ってからも嬉しくて、ソファにダイブしてゴロゴロしていたら床に落ちた。落ちた痛みも分からないくらいには興奮していて、床を拳でドンドン叩く。 やったー!先生と花火大会!デート!! 思わずガッツポーズを決めてしまった。 そうだ!服! いつもよりいい服を着て行こう! タンスの中に入っている服を全て取り出し、ファッションショーを始めた。

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