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第110話
この日、俺はユッキーと一緒に課題に取り組んでいた。
現地集合という事で、某コーヒーショップで集まって黙々と課題に取り組んでいた。
隣の席の女の子がうるさくて、全然課題に集中できない。
何とかならないものか。
もっと静かな場所を選ぶべきだった。図書館とか。
でもここが一番近かったんだよなぁ。
はぁ、とため息をついて注文していたコーヒーを飲む。
ユッキーも完全にやる気を失っていてずっとゲームをしている。
そもそもユッキーから誘ってきたのにやる気ないってどういう事?
「ユッキー、課題は?」
「気が向いたらやる」
「一生向かないだろ」
話しかけてみるが、スマホの画面から一切目を離さずに返答される。というか、ユッキー瞬きして無くないか?
そこまで集中してるの?
もう帰ろうかなぁ、と思っていたその時。
電話が鳴った。
姉からだったらやだなぁ…と思いながら画面を見ると、『茜くん』の文字が。
茜くんから電話なんて初めてじゃないか?
とりあえず電話に出てた。
なんと花火大会のお誘いだ!
そしてガッツポーズを決めた。
だって茜くんからのお誘いだぞ。しかも初めて誘ってくれた!
「ユッキー、俺用事できたから帰る!」
「わかったー」
ユッキーと別れて、急いで家に戻る。
「よっしゃ!」
踊るように廊下を駆け抜け、リビングに入る。ソファに転がってバタバタしていると、ある事に気づいた。
こんなラフな格好ではいけないと。
もっとお洒落な服探さないと!と思いクローゼットの中身をすべて引き出し、ファッションショーを始めた。
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