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第113話
突然の事でびっくりして固まってしまう。
俺なにかしたっけ?!怒らせるような事、何か失礼な事でもしてしまったのかと、記憶を辿るが思い出せない。
「な…なにか?」
恐る恐る聞くと、お姉さんたちはニコニコ笑顔で俺の前の席を指さした。
「向かい座っていい?」
「へ? あ、どうぞ!空いてるので!」
なんだ、向かいの席に座りたかっただけか。
確かに周りは人がいっぱいで、座るところが限られている。
ごめんなさい、俺なんかと一緒に座りたくないですよね、なんて思いながら先生の様子を伺う。
屋台もたくさん人が並んでいる為、中々前に進まないようだ。
悪い事しちゃったかなぁ、なんて。
一緒に並べばよかったかも。
「君1人なの? 私たちと一緒に回ろうよー!」
「いえ、連れがいるので…」
「じゃあそのお友達も一緒にさ!」
「え…いや…、ん…?」
グイグイ来るお姉さんに困り果てていると、ある事に気づいた。
2人組のお姉さんのうち、1人をどこかで見たことがあるような…?
見たことがあると言うか、似ているというか…?
その黒のサラサラした長い髪、大きな瞳で睫毛が長い、宝石のようなエメラルドグリーンは何処かで見たことがあって…
「あー、やっと買えた…。お待たせ」
たこ焼きを片手に帰ってきた先生と、お姉さんとの視線が絡む。
明らかに先生の顔が引きつっているのがわかった。
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