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第115話
「別に茜くんのせいじゃないし」
気にしないで、と言いながらたこ焼きを食べている。
先生は大人だな。人のせいにしないんだ。
もし俺が先生の立場なら、どうだろう。…俺はまだまだガキだから、きっと人のせいにしてまうんだろう。
ガキか… なんだか悔しい。
早く大人になりたいな。
パクッとたこ焼きを頬張る。外はカリカリで中はトロトロで美味しい。少し熱いが食べやすくなっている。中に入っているタコが大きくて噛みごたえがあっていい。
あっという間に完食してしまった。
美味しかった。
そろそろ花火の時間だが、よく見える場所は既に人でいっぱいで、入るスペースがないほどだった。
どうしよう… と困っているとぎゅっと手を握られた。
「俺のとっておきの場所、教えてあげる」
そう言われ、手を引かれて連れてこられた場所は神社から少し離れた所にある、社だった。 階段を登った見晴らしがいい場所なので、きっと花火も綺麗に見えると思う。
こんな場所あるの知らなかった。
誰も居ないから、これが穴場と言う場所なのだろうか。
ヒュー、と花火を打ち上げる音が鳴った。
始まった。
ドン!と大きな音を立てて、大きな花火が夜空を彩る。
綺麗だ…。
花火なんて何年ぶりだろう。小学生の頃に母さんと見て以来かもしれない。
今は大好きな先生と一緒に見れて、本当に嬉しい。
繋いでいた手を、ぎゅっと強く握り返した。
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