141 / 222

第116話

約30分間の打ち上げ花火が終わってしまった。 先程までの騒がしさはどこへやら、辺りはシーンと静まり返っている。 もっと見ていたかったな… 花火が終わった後のこの悲しい気持ち。 「…ん、」 しばらくぼーっと空を見つめていたら、不意に唇を奪われた。 また外なのにキスするんだから… 月明かりで明るいが、先生の顔はよく見えなかった。 「もう帰る?それとも屋台に戻る?」 「んー、帰る。先生うち来なよ」 「じゃあ、行こうかな」 たこ焼き食べたし、満足だ。 普通に食べるたこ焼きも美味しいけれど、屋台で食べるたこ焼きは格別に美味しい。 なんでだろうなぁ。 屋台の方はまだまだ人が沢山いて、見ているだけでも目が回ってくる。 静かな夜道を歩く。 楽しかったけど、やっぱり人混みは疲れる。 「泊まってく?」 「ふふ、泊まってほしい?」 「どっちでも」 なんて嘘。本当は泊まって行ってほしい。 分かってる癖にそんな事を聞く先生は本当に意地悪だ。 「素直じゃないなぁ」 「…分かってるクセに」

ともだちにシェアしよう!