＊＊＊ これは…事件だ。 今年一番の事件かもしれない。 実家の猫が子どもを産んだことよりも、お父さんが仕事をクビになったことよりも、大学で最近俺のファンクラブが出来たと言う噂よりも、ゲームでSSRを当てた事よりも重大事件だ。 俺はただ、今日発売のゲームを買いに来ただけなのに… こんな現場を目撃するだなんて。 こっそりと隠れて尾行する。 これじゃあまるでストーカーじゃないか。 …尾行とか言ってる時点で完全なるストーカーだが…。 俺の視線の先には、可愛らしい女の子と一緒に買い物をしている男… この野郎、浮気か？ 許さんぞ… 人の処女まで奪っておいて女の子に乗り換えるだと？ しかもこの女の子…花ノ宮中学の子じゃないのか？ まだ中学生だぞ？！ 若い方がいいってか？！ そりゃあ20超えたオジサンよりも、10代中学生の方がピチピチだけども！ くそ…自分で言ってて悲しくなってきた… あれ？！ 少し目を離した隙に居なくなってる？！どこいったんだ？ 辺りを見渡すがどこにもいない。 「何探してるんです？」 「いや、人を… っ？！？！」 「へぇ、誰を探してたんですか？」 背後から話しかけてきた人物に目をやると、あらびっくり。 見失ってしまったその男…真紘くんと、女の子が立っていた。