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「…は?何言ってんの…? だってお兄ちゃん男でしょ、男同士で付き合うなんて変だよ!」 「別に変じゃないだろ」 「変じゃん!そんなの…気持ち悪い…し…」 あ… やっぱり、そうだよね。 男同士で付き合うなんてどうかしてる。 世間は認めてくれないんだ… 俺たちがどれだけ愛し合っていても、将来を誓っても、祝福してくれないし、結婚もできないんだ。 それはとても悲しい事だ。 だけど、とても難しい事でもある。 人それぞれ考え方が違うから、みんなが受け入れてくれるとは限らない。 もし同性婚が認められたとしても、きっと周りからの反応は良いものとは思えない。 認めてもらわなくていい。 ただ、知っておいてほしい。俺たちみたいな人が沢山いると言うことを。否定しないでほしい、俺たちのことを。 「お前なっ…」 「真紘くん、ダメだよ」 今にも殴りかかりそうになっていた真紘くんを止める。 俺だって腹が立っている。好き勝手言って、人の幸せを決めつける。 「えーと、千紘ちゃん? 俺は本気だよ。本気で真紘くんのことが好き。 認めて欲しい訳じゃない、ただ知っておいてほしい。 恋愛は自由だよ」 俺、今日は結構いいこと言ったんじゃない? 真紘くんも開いた口が塞がらない。 ドヤ、俺に惚れ直したか? 「……帰る」 今にも泣き出しそうな顔をして、走って行ってしまった。 大人気ない事をしてしまったかもしれない。 だけど後悔はしていない。 「ごめんなさい…」 申し訳なさそうに謝る真紘くんの頭を撫でて、「大丈夫だよ」と言っておく。 『気持ち悪い』か… 気にしないと思っていても、胸にグサリと刺さるなぁ。

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