154 / 222
7
いつも無表情の真紘くんの目が大きく見開かれた。オレンジ色の瞳が美しい。
はは、豆鉄砲食らった顔して…ウケる…
「…俺は、嫌です」
はっきりとそう言った。
やめろよ、嫌とか言うな。 俺を困らせるな。
「何でですか、気持ち悪いって言われたから? それとも俺の事嫌いになった?遊びだった?」
「……ちがうし…」
どれも違う。
確かに気持ち悪いって言われたのはショックだったが、別れたいとは思わなかった。
真紘くんの事を嫌いになるわけない。遊びなわけない。
俺、本気で好きだもん。
だからこそ、別れた方がいいと思った。
「真紘くん、まだ高校生だから… 俺なんかと付き合うなんてダメだと思った。女の子と恋愛して、青春してほしい。俺と付き合うと周りからの評価もあまり良くないし… 真紘くんの将来を潰してしまうなんて、俺は嫌だ」
ダメだ、これ以上言うと…涙が出そうだ。
布団に包まり、泣き顔が見えないようにした。
別れようと切り出した男が泣いているなんて、決まらないだろ。それに年下に自分の泣き顔を見られたくなかった。
これでいいんだ。
俺の事は忘れて、幸せになって欲しい。ちゃんと女の子と恋愛して、結婚して、子どもも生まれて…。
クソ…悔しいなぁ…
なんで俺じゃないんだよ…
ともだちにシェアしよう!