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第123話

*** 『話があるから今日は家に行っていい?』 と先生からメッセージが来ていた。 このメッセージを見た瞬間、俺は固まった。目眩がして、心臓がドクンと脈打った。 わ、別れ話?! やっぱり男の俺ではダメだった? もう飽きた?他に好きな人が出来た? そんな不安に駆られていた。 とりあえずまだパジャマだった事を思い出し、服を着替える。 メッセージには『いいよ』と返しておいた。 怖い… ドキドキして手が震える。 なんの話なんだろう… 「こんにちは。お邪魔します」 数時間後、先生が来た。 いつも通りで、特に違和感は無くそこまで深刻な話ではないなと思い、ホッとした。 俺の部屋に通し、お茶とお菓子を出す。 雰囲気はいつも通り、暗い顔でないから、たぶん別れ話ではないな、よかった。 だとしたら、一体なんの話なんだ? 「これ」 と言って、2枚の紙切れを机の上に出した。 なんだこれ?温泉旅行ペアチケット? 「実は姉から、『お祭りで一緒にいた子と行ってきなさい』てプレゼントされたんだけど…」 「え?!なんで?!」 「分かんない… 俺もそれが怖くて…。絶対何か企んでるよ、タダでくれるわけないじゃん…」 本当に謎だ。お姉さんとはこの前のお祭りで会ったきりだし、普通に仲良くても温泉旅行券をプレゼントするなんて考えられない。 なんで俺たちにプレゼントしてくれたんだろう… 「それで、日程なんだけど20日とかどう?空いてるかなって」 「ん? 行くの?」 「行くよ?だって断れるワケないじゃん、断ったら何されるか… きっと一生パシりとしか見られなくなって、毎日あの冷ややかな視線を感じて生きるんだ…ゾッとする」 先生、お姉さんには適わないんだな。 姉弟ってそんなもんなのかな?女の人の方が強いとはよく聞くけれど。 俺は元々一人っ子で、再婚して義理の兄が出来たが、あの溺愛っぷり。怖いなんて思った事ない。 しかし先生の顔から察するに、相当怖い思い出がたくさんあるのだろう。

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