164 / 222

第127話

温泉入りたかった… 源泉かけ流し…いいなぁ… 仕方なく、大浴場に行くのは諦めて部屋に付いている露天風呂に入っている。 こっちも温泉だけど、大浴場の温泉は色々な効果があるらしくて入るのを楽しみにしていたのに。 「ごめんって。許して?」 「許さん、もうキスマーク付けるの禁止」 「えぇー」 えぇー、じゃないし。 そんな捨てられた子犬みたいな可愛い顔しても無駄だよ!今日は折れないからね! 反省しろ! その顔をしても無駄だと気づいた先生が、ちぇっと唇を尖らせた。 「そう言えば、先生のお姉さんは何してるの?お仕事してるんだよね?」 「そのはずだけど… 俺もよく知らない。ずっと家に居るみたいだけど、たまにモデルの仕事引き受けたりもしてる。でも殆ど家から出ないし、収入源も謎なんだよね」 へ、へぇ…そうなのか… 先生のお姉さん…ますます分からない。 逆上せる前に出ようと立ち上がると、少しお肌がすべすべになった気がする。 露天風呂から出て、夕食の時間まで少し時間があったから、畳に寝転んでまったりしていた。 あぁ…畳気持ちいい…しかもいい匂い… 家にも畳欲しいな。フローリングばかりだと飽きてしまう。寝転がりたくてもフローリングだと体が痛いし。 「失礼致します」 中居さんが正座して、スルッと襖を開けた。 その隣には豪華な夕飯がお盆に乗っていた。 「夕食のご準備ができました。お運びしても宜しいですか?」 「お願いします」 起き上がって机の前に座ると、前に綺麗に盛り付けられた食事がおかれる。 すごい!こんか豪華な夕食初めて食べる! エビとか、お刺身が乗ったお皿、天ぷらもある。 うー…俺、魚苦手なんだよね… 魚は焼いても煮ても嫌いだ。刺身もできるならあまり食べたくない。生臭くて、醤油をベッタリ付けないと食べられない。 よく母さんに言われる。『それは刺身じゃなくて醤油を食べてる』と。 俺もそう思う。だって醤油の味しかしないもん。 いただきます、と手を合わせてまずは天ぷらに箸をつける。 夏野菜とお魚の天ぷらだ。まずは野菜を食べる。美味しい! 「すご!美味しい!ナスが!ナスが!」 このナスの天ぷらが最高に美味しかった。家でも作りたい、毎日食べれる。 俺がナスナスナスナスうるさかったからか、先生の分のナスの天ぷらをくれた。 じゃあ俺は代わりにお魚の天ぷらをあげよう。

ともだちにシェアしよう!