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第129話

旅館の人にお布団を引いてもらって、2つの布団をくっつけた。 いつもベッドで寝てるからお布団で寝るのは新鮮だ。 仰向けに寝転がり、コロコロする。 「ふわふわだー…気持ちい…」 「眠い?もう寝る?」 「んー、だってまだ…」 そこで口を噤んだ。危ない、と口に手を当てドキドキする心臓を落ち着かせる。 今の発言をスルーしてくれたら良かったものの、そういう訳にもいかなくて。 俺に影が覆いかぶさり、手首をシーツに縫い付けた。 ニヤリと笑う先生は、とても色っぽかった。ドキドキするからあまり意識しないようにしてたけれど、やっぱり直視できない。 いつもより色っぽいのは浴衣を着ているからだろうか。 「茜」 「う、ぁ…」 いつもは『茜くん』と呼ぶクセに、こういう時だけ呼び捨てするの、すごくズルい。 その視線から逃げられない。 ぺろりと首筋を舐められ、ビクッと体が反応する。 「だってまだ… なんて言おうとしたの?」 「そ、れは…その…」 「そう、言えないならこの続きは無しだね」 え…?そんな… ここまでドキドキさせておいて、無しとか嫌だよ… エッチしたい…抱いて欲しいよ… 「なんで…いじわる…」 「だって、茜くんの嫌がることしたくないし。それに」 皮肉たっぷりの笑顔で 「俺、優しいから」 さっきの事まだ根に持っていたのか… 優しいけど、いじわるだ。今だってそう。抱いて欲しくて堪らないのに焦らす。 「せんせ…、抱いて欲しい、エッチしたい…」 「ふふ、素直でよろしい」 よしよし、と頭を撫でられチュッとキスを落とされる。 少し開いた唇の間から、先生の舌が滑り込んできた。舌を絡め合い、濃厚なキスをする。 キスをするとふわふわとした気持ちになり、胸が満たされて幸せになる。 唇が離れると銀色の糸が俺たちを繋いでいた。プツンと途切れ、シーツに落ちていく。

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