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第135話

それからたくさん写真を撮られ、満足気にお姉さんは帰って行った。 俺と先生はゲッソリした顔をして、ベッドに座り項垂れていた。 「疲れた…」 「もう10年は会いたくない… あ、ダメだ。 明後日また荷物取りに来るのか…」 はぁ…とため息をつく先生。 俺も暫くはいいかな… いい人なんだけどね… 「あの写真何に使うんだろう。資料ってなに?」 「あー… たぶん、悠花はその…腐女子?ていうやつで、コミケ用に同人誌書くみたいだね」 腐女子?コミケ?同人誌… 聞いたことあるがあまり詳しくないワードばかり出てくる。 腐女子ってたしか、男同士の恋愛が好きな女の子の事だよね? あ、だから俺と先生の関係も引かなかったし、資料も俺たちで良かったのか。 納得した。 コミケはよく真紘から聞くけどよく分からない。 同人誌もどういう本なのかよく分からない。 でも兎に角、お姉さんはコミケ?で同人誌?を描いてるって事だよね。それは本を1から作るという事で、すごいと思う。 どんな本なのか分からないけど、「出来上がったらあげる」と言われているから少し楽しみだ。 * 「これ前に言ってた同人誌!コミケでもめっちゃ売れてさ!もう最高だった!」 数週間が経ち、今は先生の家にいる。 後からお姉さんもやって来て、先生にお茶を入れに行かせて、前に言ってた同人誌とやらを手渡された。 思っていたより薄いんだ… 表紙がすっごい刺激的なんだだけど… なんか上半身丸出しの男の子が描いてある… これ読んでいいの?R18って書いてあるけど…? ペラっとページを捲ると、普通の漫画だった。 なんだ、普通じゃん、と思いペラペラとページを捲っていると、衝撃の絵が飛び込んできた。 「なっ、なっ、え…?!」 「上出来でしょ? いいモデルのおかげだよ」 そこには表紙の男の子がエッチしている絵がバーンと描かれていた。 俺たちが取らされたポーズで、エッチしている… 顔を真っ赤にして、口をぱくぱくさせていると、ヒョイっと本を取り上げられた。 「茜くんになんて物見せてんだ!!」 戻ってきた先生が同人誌を取り上げてお姉さんに返していた。 お姉さんは今まで見た中で、一番の笑顔を浮かべていた。

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