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第137話
図書館の入り口付近待ち合わせという話だったけれど…
まだ来てないみたいだ。
少し離れたベンチに座り、待っていると中からたくさんの小学生らしき子たちが出てきた。
夏休みも終盤で小学生たちも図書館で勉強してるんだろうなぁ。自由研究とかすごく懐かしい。俺、自由研究すごく嫌いだったな。
『10円玉はどの調味料で綺麗に汚れが落ちるのか』とか研究してた覚えがある。
懐かしい… もう高校生になってしまったよ…
「茜、お待たせ」
そんな事を思っていると、彼が来てくれた。
「拓馬くん!呼び出しちゃってごめんね!」
「いいよ、俺も暇だったし。茜に会えるの嬉しいから」
俺が呼んだのは、同じバイト先の1個上の先輩の拓馬くんだった。
拓馬くんと俺は通ってる学校が同じだから、もしかしたら…と思い連絡してみたのだ。
あぁ、私服姿も可愛い… 天使かな?透明感がすごい…
とりあえず中に入り、空いている机がたまたまあったのでそこに座った。
「どれくらい宿題残ってるの?」
「は、半分以上は…」
「わぁ…それはそれは…」
拓馬くんも驚いている様子。ごめんね!ごめんね!!
「でも意外だな。茜はコツコツ宿題をやっていくタイプだと思っていたのに」
「いやいや、最後に一気にやるタイプだよ。だから今までは頑張ってコツコツ終わらせてたんだけど…」
今年はなぁ…
なんでだろう、浮かれてたのかなぁ。
「まぁ、早く終わらせちゃおうか」
「うん!お願いします!」
拓馬くんはニコリと微笑んで数学の問題集を開いた。
本当に天使だ… 後光が差して見える…!
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