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第138話
某コーヒーショップはやめて、近くの大きな図書館で勉強する事にした。
あとはこのレポートを書くだけで夏休みの課題は終わる。
ユッキーはもう終わったらしく、涼しい部屋でのんびりゲームライフらしい。
いいなぁ、俺も涼しい部屋で毎日茜くんと過ごしたいものだよ。
はぁ…とため息を付き、レポートの資料となる本を探していると、聞いたことのある声が聞こえてきた。
この声は、俺の好きな人。
ひょこっと顔を出して、声のした方を見るとそこには茜くんと… もう1人男の子が居た。
おやおや、夏休みの宿題かな? 俺に頼らないで他の人に頼るんだ。ふーん、へぇー。
しかも距離が近い。俺の見間違いではない。ピッタリとくっ付いて、手が触れ合っている。
あ~か~ね~くん。
これはどういう事かな?
なんてね。俺だって茜くんの交友関係くらい優先させる。嫉妬してしまうのは仕方が無いこと。
俺の事が好きならそれでいいんだ。
「拓馬くんの教え方すごい上手いね!もう数学の問題集終わっちゃったよ!」
「そんな事ないよ。1年の頃にやったのと同じだったから」
なるほど、茜くんの先輩なのか。同い年に見えなくもないけど。
と言うか、俺とその子どっちが教えるの上手いの。
前に茜くん、俺の教え方上手いって言ってたけどどっちなの。
いやいや、盗み聞きとかダメだろ。こんなのまるでストーカーじゃないか。悪質すぎ。
こんなのダメだ、と思い場所を移ろうとするが会話が気になって仕方がない。
「これが終わったら何か食べに行こうか」
「うん!行く行く!」
行くのか…そりゃ行くわな。俺もユッキーとご飯行くし。
でもコイツしっかり茜くんの手握りやがって!
茜くんも抵抗しろよ!
ホンットにもう!警戒心のない天然は困るね!
あぁ、大人気ない。俺ってこんなにも嫉妬深かったか?
「あれ?茜くんだ」
俺は今までの会話を知らんぷりして2人の会話に割って入ったのだった。
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