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第141話
茜くんと拓馬くんと一緒にファミレスに来たのはいいものの。
さっきから拓馬くんがすっげぇ睨んでくるんですけど。
不満爆発してるよ。
『二人きりで食べに行きたかったのに邪魔すんな』と目で訴えかけてきてるのが丸わかりだ。
ははは、拓馬くんよ、俺は茜くんみたいに天然さんじゃないぞ。わざとに決まっているだろう。
しかもしっかり茜くんの隣を陣取って、好きな物頼んでいいとは言ったが一番高いやつ頼みやがって。
これも囁かな嫌がらせなのだろう。
痛くも痒くもないけど。
しかし俺の顔は引きつっていたらしく、茜くんが心配して声をかけてくれた。
あぁ、なんて気遣いのできる子なんだ。可愛いなぁ。
そんな事を思っていると、料理が運ばれてきた。
茜くんは目をキラキラさせてハンバーグを見つめている。
可愛い。たまには外食もいいかもしれない。今度茜くんを連れてどこか美味しいお店にでも行こうかな。
目玉焼きの乗ったハンバーグを食べる。普通のハンバーグなのに上に目玉焼きが乗ってるだけで高級感増すのは何故なのだろう。値段も上がるしね。目玉焼き乗ってるだけなのに。
「先生は課題終わったの?」
「うん、もう終わるね。どうして?」
「え、なんでもないよ。気になっただけ」
嘘つけ。
それは茜くんなりのお誘いなのだ。
あぁ、そんなに可愛い事をされると意地悪したくなるじゃないか。
「先生さんは、茜の先生なんですか?」
エビフライをフォークでぶっ刺しながらそう問う拓馬くん。
顔は笑っているが、目が笑っていない。器用な事するなぁ。敵意剥き出し。
「俺は茜くんの家庭教師をやっている、秋月 悠誠って言います。自己紹介遅れてごめんね」
「あぁ、家庭教師か… 俺は司波 拓馬です。茜のひとつ上でバイト先が一緒なんです」
バイト先が一緒… あぁ、前にユッキーと一緒に行った時に席まで案内してくれた子か。全然気づかなかった。店では可愛く愛想振りまいてたのか。今は『愛想』の『あ』の字もないけど。
お互いに自己紹介すると、茜くんがアワアワと焦っている。
何か勘違いしてるな?
面白いからもう少し様子を見よう。
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