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第142話
少し遅めの昼ごはんを食べ終え、ファミレスを出た。
ハンバーグが美味しすぎてそれに夢中になり、結局拓馬くんの食事シーンは見れず終い。気づいた時にはお皿は空っぽになっていた。
拓馬くんって意外と食べる方なんだな。あれだ、ギャップ萌だ。
先生と拓馬くんは無言で見つめ合い、自己紹介をしていた。どうしよう、そこから恋が芽生えたら…
絶対俺負けるよ… 拓馬くんに適うわけないじゃないか。
だって天使と凡人だよ?みんな天使を選ぶよね?
あぁぁ、どうしよう、と頭を抱えていると拓馬くんが口を開いた。
「ねぇ。 茜、俺の事好き?」
唐突に投げかけられたその言葉に、一瞬戸惑う。
好きってなに?あれか、友達の好きってことだよね?
だって拓馬くんの好きな人は先生だから。
「…好き、だよ?だって友達でしょ?」
俺がそう返すと、拓馬くんは歩いていた足を止め俯いている。
なんで?傷つけてしまった?でも嘘でも嫌いなんて言えない。
不安になっていると、パッと顔を上げて笑顔に戻った拓馬くん。
「だよね。俺も好きだよ。友達、だから」
じゃあね、と言って走って行ってしまった。
拓馬くん…?何か言いたげだった。笑顔も無理してるような… 大丈夫なのかな…?
「拓馬くんって先生の事好きなんだよね…?」
「俺の事が好き?! 拓馬くんが?!」
とても驚いている。まさか先生は気づいてなかったのか?
あんなに見つめ合っていたのに。
先生は「有り得ない」と言っているが、先生はその気が無くても拓馬くんが好きならそれは成り立つ事であって…
「それよりも、何か俺に言うことあるんじゃない?」
「え、な、無いけど?」
「嘘はダメだよね」
グイッと腰を引き寄せられ、頬を撫でられる。
ボッと顔が赤くなっていくのが分かった。
だってその顔反則だから! そんな色っぽい顔されたら誰でも赤面するだろう。
「悪い子はお仕置き」
ニヤリと意地悪な笑顔を浮かべている。
その顔に、ドキリと心臓が跳ねるのが分かった。
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