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第145話
ちゃんと聞いてるし、理解もしているが、どうしても先生に目線が行ってしまうのだ。
「だって…先生、かっこいいから勉強に集中できなくて…」
「…ん?」
恥ずかしくて顔を手で覆って答える。
先生の間抜けな声が聞こえてきた。
そりゃあそうだ。先生がかっこ良くて勉強に集中できないとほざく馬鹿な教え子が居てたまるか。
我ながら馬鹿な理由だと思う。でも俺にとっては真剣な悩みなのだ。
「そんな理由?」
「そんな理由じゃない!真剣な悩みなの!そもそも先生こ顔が良いから…」
思わず口を噤んだ。
先生が顔を赤くして口元を手で隠して照れていたのだ。レアだ。照れてる先生もイケメン…
「先生、その顔すっごいイケメンだよ」
「はは、 本当に茜くんは俺の顔が好きだね。 好きなのは顔だけ?」
分かってるくせに。わざとそんなことを聞く。
「まさか。全部好き…」
言いかけた言葉は塞がれた唇によって消えた。
ゆっくりと唇を離し、再び後ろを責め立てられる。
今度は気持ちいい所も擦られ、ビクビクと体が揺れる。リボンで手足を縛られているから身動きが取れない。
「やっ、ぁ…!これ、外して…っ?」
「あ、忘れてた。ごめんね、跡になってない?」
忘れてたのか… 忘れるかなぁ、普通。
でもちゃんと心配もしてくれて。跡にはなってないから大丈夫そうだ。
足は見えないから大丈夫だろうけど、手首に縛られた跡があったら少しびっくりするよね。夏だから絶対見えてしまうし。
しかしなんで縛られたんだろう。縛らなくてもいいのに。
「なんで縛ったの?」
「逃げられないように」
「逃げないし」
なぜ逃げると思ったのか。俺が先生から逃げるわけないだろうに。
避けることはあるけど… テストの点が悪かった時とかは極力会いたくない。
先生って結構、独占欲が強いのかな?
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