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第147話
ムスッと膨れながら言い返すと、ふふっと楽しそうに笑われた。
楽しいのは先生だけだ。俺は死ぬほど恥ずかしい。
「もっと指入れないと。…あ、腕が短いからこれ以上無理なのか」
「それ口に出したらダメなやつ! 喧嘩売ってる?!」
腕の長さと身長は比例しているらしい。両手を横に伸ばした長さが身長と同じになるみたい。
つまり俺は背が低いから腕が短いと言いたいのだろう。
俺と比べたら先生は背が高いし腕も長い。
何故なのだろう、同じ人間なのに。どうしてこんなに違いが出るんだろう…
神よ…あぁ神よ…明日には先生の身長が10cm縮む呪いにかけてください…。
「手伝ってあげようか?」
「別にいらない」
これじゃあ先生のペースにのまれてるじゃないか。
それが悔しくて先生を軽くあしらって、ベッドから降りた。
今度は引き戻されなくてホッとした。階段を降りてお風呂に行くと鏡に映る自分に仰天した。
上に大きめのTシャツを着てきたが、シャツを着ても見える所に赤色の点々が付いていた。しかもたくさん。
服を捲って見ると、体のありとあらゆる所に赤色の点々がたくさん付けられていた。
「な、な、…なにこれ!!最悪!!」
「どうしたの?大きな声出して」
俺のイライラがMAXになった所で、イラつかせた張本人が現れた。
「もう先生とはしばらくエッチしない!!」
「え!やだ!」
やだじゃねぇし。今回は本気だ。これは本当に有り得ない。
夏なのにシャツを第一ボタンまで止めないといけないなんて、どんな修行だ。隠れないところは絆創膏を貼らないと見えてしまうし。
もう少し手加減しろ!自制しろ!
「とにかくエッチはしないし、我慢してよね!」
「茜くんは我慢できるの?」
「できるよ!先生みたく欲求不満じゃないもん!」
「…はぁ? 俺、欲求不満じゃないし」
今まで明るかった先生の声が突然低くなり、体がビクリと固まった。
怒ったかな?今まで怒ったことのない先生が怒ったの?
言い過ぎた?でも俺は悪くないし。先生にだって自制して欲しいし、俺の気持ちもわかって欲しい。
「茜くんがそこまで言うならもうセックスはしない。それでいい?」
な、に…?この人誰…?
さっきまでの先生とは別人みたいに冷たい。
怖くて、つい頷いてしまった。
顔を見るのが怖くて俯いていると「帰る」とだけ言って出て行ってしまった。
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