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第150話

「はぁ?!風邪?!」 大学生はまだ夏休み真っ只中。俺の叫び声に周囲の人の視線が集まる。 ニコリと笑顔を浮かべて「すみません」と軽く頭を下げてその場を凌いだ。 恥ずかしいな、もう! 昼前、少し早めに昼食を食べようとユッキーと一緒にファーストフード店に入った。 大して美味しくもないハンバーガーを食べる。ぶっちゃけ茜くんの作ったご飯の方が100万倍美味しい。 ユッキーはこのジャンクな感じが好きだと言っていたが、さっぱり理解できない。 そんな中、恐らく授業中のはずの茜くんからメッセージが来ていた。 謝る気になったか? それとも、我慢できなくなったか? クスッと笑いながらスマホに目を向けると、それは予想外で。 少し会わない間に、茜くんは風邪をひいてしまっていた。 今はたぶん一人で家に居るはずだ。 仕方ないな。 「ごめん、ユッキー。可愛いお姫様が風邪引いてるらしくて、行ってくるね」 「わかったー。ついでに仲直りしてきなよ? 今の悠誠まじで怖いし」 適当に返事して、店を出た。 仲直り…か。 別に喧嘩したとかじゃないんだけど。いや、喧嘩なのか? と言うか、俺が悪いの? 茜くんがなんで怒ってるのか分からないし、怒る理由も分からないまま謝るのも嫌だし。 ただ、「欲求不満」という言葉にカチンときただけだ。 俺、欲求不満じゃないし。欲求不満で茜くんとセックスしてるんじゃない。 茜くんが好きだからセックスしてるんだ。 なんか、俺ばっかりが好きで不安になる。 茜くんあまり「好き」って言ってくれないし、余計に。 モヤモヤしたまま近くのスーパーでプリンやゼリーやらを買い込むと、茜くんの家に向かった。

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