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第151話
頭がガンガンする。体は暑いのに、とても寒い。
「あか…く……、あかね、」
俺の名前を呼ぶ声は、大好きな人で。 でもここに居るはずがなくて、これは夢なのだと認識する。
「せん、…せぇ… しんどい…頭、いたい…」
夢の中だと分かっているのに、ぼんやりと視界に映る先生に手を伸ばす。
大きくて暖かい手の平に包まれて安心する。
「大丈夫? 薬は飲んだ?」
「…飲んでない…」
薬どころか、お母さんに用意してもらったお粥すら口にしていなかった。 食欲ないし、起き上がるのがしんどくて食べられない。
先生は少し考えてから、ベッドに腰掛けてきた。
「薬飲んだら楽になるから、頑張って食べようね」
よしよしと頭を撫でて、俺の体を抱き起こした。起き上がるのはやっぱりしんどくて、視界が揺らぐ。
先生に体重を掛けるように寄りかかって、冷たいプリンを口の中に放り込まれる。
美味しいが、今はあまり食べたくない。
風邪引いてる時は、美味しい物も美味しく食べられないから嫌いだ。 大好きなプリンも美味しいのに、あまり美味しく感じない。
これは夢なのに、やけにリアルだなぁ。とボーッとする頭で思った。
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