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第153話

ねっとりとした濃厚なキスを堪能して、唇が離れていった。少し寂しいし、物足りない。 そう思っていると再び唇を塞がれた。 先生の口から少し温かくなった水が口内に流れ込んできた。その中には苦い薬も混じっていて、嫌だと先生の体を押し返そうとするが力が入らない。 口は塞がれたままで恐らく飲み込むまで離してもらえない。どんどん口の中に薬の苦い味が広がって、気持ち悪くなってくる。 意を決して、ゴクリと飲み込むと口が離れた。 「頑張って飲めたね。偉い、偉い」 「苦い…夢なのに…」 「夢…そうだね。茜くん、夢だから聞くけど…なんでエッチ禁止にしたの?俺の事嫌いになっちゃった?」 涙目になっている俺をよしよしと頭を撫でて褒めてから、そんな質問をされた。 いつもの余裕そうな顔じゃなくて、不安そうな顔をしている先生が少し可愛く思えた。 夢だし、何言っても大丈夫だよね… 「先生の事は好き。だけどキスマーク、たくさんつけるから…。見られるのいや、…俺の気持ちも考えて欲しくて…」 「そっか…。ごめん…、俺自分の事しか考えてなかったんだね」 申し訳なさそうに謝る先生の手をギュッと握りしめた。 分かってくれたなら、それで十分だ。俺の気持ちを理解してくれてありがとう。 「せんせ…好き…」 「俺も、好きだよ。 おやすみ、茜」 大きな手で目を覆い隠され、あっという間に眠りに落ちた。しんどくて、頭が痛くて寝苦しかったけれど、今はとても心地が良く寝れた。

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