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第154話

次に目が覚めたのは夜だった。 心配して今日は早く帰ってきてくれたらしい母さんが冷えピタを張り替えてくれていた。 寝たからだいぶマシになった。 それに、夢とは言え先生に会えたし。 「あら、茜起きた? 食欲は?」 「んー、食べるー」 お腹空いた。夢の中でプリン食べたけど、夢だからなぁ。 都合の良い夢だったが幸せだった。先生に会いたいな。 お粥を運んできてくれた母さんにお礼を言ってスプーンを手に取る。 お盆の上にはゼリーも乗っていて、母さんが帰りに買ってきてくれたのかな? 「そうそう、そのゼリー悠誠くんが持ってきてくれたのよ。あんたの事が心配でお見舞いに来たんだって。優しいわねぇ」 「……へ?! 先生が?!」 先生がお見舞いに来た?! という事は、あれは夢ではなく現実?! 嘘だろ?! 俺なんか変なこと言ってないかな。正直頭がボーッとしててどんな会話したのかとか全然覚えてないんだけど。 え、すごい不安! 「お!薬飲んでるじゃない!あんた飲めるようになったのね」 「え?薬、飲んだっけ……っ!!!」 薬なんて飲んでな…… 飲んだ。飲んだよ。 先生の口移しで飲んだよ。 あぁ、恥ずかしい…消えたい。 バサッと布団を被りこんだ俺を見て、「もう食べないなら下げるよ」と言ってお粥を下げられた。ゼリーは確保してある。 手に持っているゼリーの容器をギュッと包み込み、はぁ…とため息を漏らす。 「先生のばか…」 ゼリーの容器には『早く良くなってね』と先生の字でメッセージが書かれていた。 こんなの嬉しいに決まっている。 ふふっと笑みを浮かべて、容器をじっと眺めた。

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