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第155話
熱は下がったが、まだフラフラして歩くのは難しいので次の日も大事をとってお休みした。
多少頭はボーッとするが、しんどくないし寧ろ元気だ。
そしてとても暇だ。特にやることも無いし、スマホを弄ったり、ゲームをしたりしたが、飽きてくるし目も疲れてきたからやめた。
「暇…暇だ…。 先生は今なにやってんだろ…」
大学生の夏休みってどんなのだろうか?
先生は教育学部だし、夏休みでも忙しかったりするのかな。研修とかも入ってくるだろうし、あまり俺のペースに巻き込むのは良くないかもしれない。
とても会いたいけれど、無理して欲しくないし風邪うつるかもだし…
昨日は会いに来てくれたみたいだけど、ほぼ記憶ないし…
というか、喧嘩?してたのに来てくれるんだ…。先生怒ってたのに。これが大人の余裕ってやつなのか?俺が子ども過ぎるのかな。
そんなことを考えていると、スマホの着信音が響いた。先生から電話だ。
うわ…出たいけど、出にくい…!
ドキドキする胸を撫で下ろして、一旦落ちついた。
よし!と覚悟を決めて画面をスライドさせると、電話越しに大好きな落ち着いた声が聞こえた。
「もしもし、茜くん?もう体調はいいの?」
「うん。昨日、来てくれたんでしょ?ありがとう、嬉しかった」
「…あ~!そんな可愛いこと言われたら会いたくなる」
「俺も…会いたい」
無意識に会いたいと言ってしまって、ハッとする。 先生も忙しいだろうし、あまり無理はして欲しくないから、あまりそういう事は言わないでおこうと思っていたのに。
「実はね、茜くんの家の近くまで来てるんだ」
「へ?!本当に?!」
「うん。会いたくて。一応電話して行ってもいいか確認したくて」
その言葉にキュウンと胸がときめいた。すごく愛されてるなぁって感じがして、嬉しくてたまらない。
もちろん了承して、数分後には玄関のチャイムが鳴って本当に近くまで来てたんだとびっくりした。
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