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第159話
「大丈夫か?なんか言われたりしてない?」
「大丈夫、大丈夫! 元はと言えば、俺がぶつかったのが悪かったんだし」
心配してくれる真紘を安心させようと、精一杯の笑顔を作って答えた。
気にしてないつもりでも、やっぱり心は傷つくもので。
ちょっとした事でもすぐに気づいてしまう真紘の前では、強がった事がバレてしまっていたようで軽く頭を叩かれた。
「あいつ、確かD組の城田(しろた)だっけ? 俺たち友達だろ、無理しなくていい。何言われたの」
「そんな大したことじゃないけど…。俺、足でまといだって… みんな迷惑してるって…」
真紘は眉をひそめて明らかに不機嫌な表情になった。
傷ついたけれど、城田くん?が言ったことは間違ってはいない。俺みたいな奴居ない方がいいかもしれない。
「そんな事思ってないから。クラスのみんなも、茜が頑張ってること知ってるし」
「…うん、分かってるよ。 大丈夫、もう立ち直った!」
そう、だよね。俺は出来ないなりに頑張って、クラスのみんなは受け入れてくれている。失敗したら励ましてくれるし、アドバイスもしてくれるし、一緒に練習に付き合ってくれる。そんなクラスのみんなを信じなくてどうするんだ。
城田くんには、城田くんなりの意見や考え方がある。俺はたまたま気に触っただけなのだ。
要するに、会わなかったらいいだけの話。
落ち込む必要はない。大丈夫、大丈夫。
「だけど、あの城田ってやつあまりいい噂聞かないから気を付けた方がいいな」
「そうなの?」
「そう、いじめとか、喧嘩とか…あとは、やばいヤツらとつるんでるとか。あくまで噂だけど、一応気を付けな」
「わ、分かった」
そんなやばい奴なのか、城田くんは。全然知らなかった。
でも前に誰かがそんな噂言ってたような、言ってなかったような…?覚えてないけど。
でもまぁ、もう大丈夫だとは思うけど。合わなければいいだけだし。
俺から会いに行くほど強くないから、きっと大丈夫だ。
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