200 / 222
第163話
それから少し高めのランチを食べさせて貰い、今は一緒に映画を見ている。
動物のコメディ映画で、なかなか自分では見ないジャンルだったので結構面白い。
主人公が敵に攫われて、主人公の結婚相手が助けに行くなんてすごく斬新なストーリーだ。
いつもはホラー映画ばかりだから、たまにはこういうほのぼのしたのもいいかも知れない。
見たいと言っていた本人は寝ているけど。
「面白かったね」
「先生、開始10分で寝てたのに面白かったの?」
「聞いてたの。確か、主人公の結婚相手が攫われるんだっけ?」
「違う。主人公が攫われて、結婚相手が助けに行くの」
「へぇ、あの女の子強いんだねぇ」
「見てないじゃんか」
思わず笑ってしまう。あの何でもできる先生の可愛い一面を見れて、なんだか嬉しくなってしまう。
悲しかった気持ちなんて吹き飛んでいて、先生と居る時間は幸せだった。
「そうだ、明日休みだよね?俺の家泊まる?」
「いいの?」
「いいよ。部屋汚いから茜くんに片付けてもらおう」
「また?いい加減自分で片付けなよ」
そんな事を言いつつも内心嬉しかったりする。なんだか同棲しているみたいでドキドキするし、俺だけが先生の特別なんだって思える。
ともだちにシェアしよう!