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第164話
「お邪魔します」
「どうぞどうぞ!汚いけど」
玄関を入り、そのまま真っ直ぐ進んで行くとリビングなのだが、もう廊下も汚かった。
いろんな物が散らばっている。ほぼプリント類だけど、中には靴下だとかTシャツも埋もれていた。
「きったねぇ…」
「あは、片付ける時間なくて」
「あは、じゃないし…もうこれは天才の粋だよ。座右の銘『散らかし王』だ」
「なにそれダサい」
先生こと散らかし王は放っておいて、とにかくこのゴミ屋敷をなんとかしないと。
散らばったプリントを掻き集めて一箇所に纏める。どれが欲しくてどれが要らないのか俺は分からないからここは先生に任せよう。
あとは所々に落ちている洗濯物を洗濯機の中に入れて回す。
これだけでだいぶ綺麗になった。
「さすが茜くん、片付け早い!惚れちゃう」
「それはどうも。俺はこんな散らかす人と一緒に住みたくないなって思った」
「えー、片付けちゃんとするから一緒に住もうよ」
「えー…」
散らかす人は大体皆んなこう言うんだ。そして慣れてきた頃に気が抜けてまた散らかすという無限ループになっているんだ。
せっかく片付けしたのにすぐに散らかされるの嫌だな…。百年の恋も冷めるね。
「茜くんが高校卒業したら、一緒に住もうよ」
「え…先生と二人で…?」
「そうだよ。同棲ってやつ」
先生と二人で住む…。考えた事もなかった。そうだ、俺一年後には高校卒業してるんだ…。
そんな先の事全く考えてなかった。
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