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第165話
言葉に詰まっている俺を見て、先生は少し悲しそうに笑っていた。
「ごめん。急にこんなこと言われても困るよね。ちょっと焦りすぎた」
「ちがっ、俺全くそういうの考えてなかったから…!」
「うん、大丈夫。 でも考えておいてね」
こくんと頷くのが精一杯だった。
俺はこの先どんな未来が待っているのだろう。
高校を卒業したら、学校の先生になる為に大学に行く。まだどこの大学に行くかも決めていないし、そもそも合格するかも分からない。
学校の先生になれるかも分からない…。まだ不安だらけだ…。
「先生は…?将来の事とか考えてる?」
「俺?俺は、大学卒業して教員免許取って学校の先生になれたらいいな~って感じかな。まだ先生になれるかなんて分からないからね」
「そっか…。不安にならないの…?」
「不安?」
先生は将来について不安にならないのだろうか。いつも前向きですごいなぁって思う。
先生はうーんと少し考えてから口を開いた。
「不安だけどさ、俺は絶対先生になりたいから不安な分まで頑張ってるつもりだよ」
「そう、だよね…。 俺は不安だなぁ…」
「大丈夫だよ。いざとなったら俺が養ってあげるから」
「ふふ、先生かっこいー」
確かに悩んでても時間の無駄だよな。今を頑張らないといけないよな。
先生のお陰で少し心の霧が晴れたような気がする。
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