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第172話
教室に入ると、一気に視線が俺に向けられてビクッと体が震えた。
すると、クラスのみんながブワッと寄ってきて俺を取り囲む。
なになに?!何これ!?
「茜!俺らが守ってやるからな!」
「私たちから先生に言おうか!?」
「他には何かされたのか!?アイツ絶対許さねー!」
俺を取り囲み口々に何か言われるが、俺は一回に何人もの話している事を聞き取れる才能はないので、頭の中にはハテナマークが3つほど並んでいる。
「とにかく!お前の事は絶対に守ってやる!」
「え…?なんか、ありがとう。俺の為にこんな…」
「いいんだ。俺たちも城田に一泡吹かせたいと思ってたから」
クラスのみんなが優しすぎて、涙が出てきそうだった。
俺なんて、足でまといでバカなクソチビなのに。こんな俺にまで優しいとか、もはや神の領域だよ。
今日から俺は、一人で行動することを禁止された。絶対に誰か人を連れて行動していれば、城田くんも近づけないだろうという提案だ。
話が纏まり、予鈴が鳴った。
先生が教室に入ってきて、朝礼が始まる。
だけど今日はいつもと少し違った。
「今日から教育実習の先生が来ています。どうぞ、入ってください」
ガラッと教室の扉が開き、教育実習の先生と思わしき人物が入ってきた。
だけどその人、見たことがある。
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