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第173話
嘘だろ?だってこんなことって…。
真紘もビックリしているようで、何も聞かされていなかったみたいだ。
「今日から3週間お世話になる、秋月 悠誠です」
「同じく、島田 雪斗です」
二人とも自己紹介をして、パチパチと拍手を浴びている。俺も真紘も困惑しながらもつられてパチパチと手を叩いていた。
パチッと先生と目が合って、にこりと微笑まれた。
その笑顔が堪らなくて、キューピットの矢に胸を撃ち抜かれたかのようにズキュンとした。
それは真紘も同じようで、顔を手で覆ってしまっている。
「やばい、秋月先生超カッコイイ…」
「今フリーかな?LIME交換したーい!」
「島田先生ふわふわしてて可愛い!」
「あたしタイプかも!」
やばい、やばいぞ。
先生たちがカッコよすぎるせいで、一気にライバルが増えるじゃないか!
残念!先生は俺と付き合ってます!!
と大声で叫びたいがそれはダメだ。
俺は今よりも嫌がらせをされるだろうし、先生は高校生に手を出した悪いヤツだと噂されるだろう。
でもこのまま大人しくしていては、先生が取られるんじゃないかと不安になる。
それは絶対にダメ!先生は俺のだもん!
…いくら俺がそう思ったって、先生の気が変われば男の俺はお荷物になる。
きっとすぐに捨てられるのだろう。
まぁ、先生はそんな事しないだろうけど…。今は俺にベタ惚れだし、浮気は許さないって釘刺してるし。
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