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第174話
「秋月先生は今彼女いますか!?居ないなら私が立候補しちゃおうかな!」
「えー!ずるーい!」
「私も私も!!」
「あはは、みんな元気だなぁ」
朝礼が終わり、わらわらと教育実習生である先生の元に女子生徒が集まる。
先生は困ったように笑い、「元気だなぁ」なんておじいちゃんみたいな事を言っているし。
ちゃんと「いる」と答えないと、もう無視してやるからな!絶対に口聞いてやらないからな!!
「残念ながら、恋人は居るんだ。ごめんね」
「あー、だよね。だって先生カッコイイもん!」
「こんなイケメン放って置かないもんね!」
女子たちは残念そうにしていたが、納得もしていた。
確かに先生はイケメンだし、女の子は放って置かないだろうな。
実際付き合ってるのは男だけどな。
でも、きちんと『付き合ってる人が居る』と言ってくれたのは素直に嬉しい。
はぐらかされたら傷付くし、一生口聞いてやらないところだった。
「島田先生!連絡先交換しよー!」
「彼女はいますか!」
「え、えーと…ははは…」
一方雪斗は、獲物を狙う狼(クラスの女子)にロックオンされて質問攻めに合う。
年頃の女の子にどう接したらいいのか分からず、思わず苦笑いを浮かべる雪斗を遠目から見つめる人物が一人。
「えー、島田センセイの彼女ってどんな人ですか?俺も知りたいなー」
「ちょっと!真紘は邪魔しないでよ!」
「邪魔じゃねーし。つかお前彼氏居ただろ。浮気はダメですよー」
「うっ…」
雪斗が困っているのを見て、居ても立ってもいられず女子と雪斗の会話に無理矢理入る真紘。
普段なら絶対にこんな事しないが、ハッキリしない雪斗と内心イライラしていたのかもしれない。
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