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第177話

「はぁ…。やっぱりお前ムカつくわ。そうやって平気な顔してる所とか、ちょっと顔が良いからってチヤホヤされてるの見るとイライラする。悲劇のヒロインぶってんじゃねぇよ」 「……ごめん」 そう、なのか。城田から見ると俺はそんな風に思われていたのか。 本当は平気じゃないし、自分が顔が良いなんて思ったこともなかった。クラスのみんなが優しくしてくれるのは、みんなが優しいからだと思っていたのだが。 何も言い返す言葉が無くて、謝ることしか出来なかった。 「俺が嫌がらせしてるの気付いてるんだろ? どんな気持ち?なぁ、聞かせろよ」 「どんな気持ちって……。嫌、だよ。すごく。だから、やめて貰えると有難いんだけど……」 正直に自分の気持ちを伝えて、ダメ元でやめて欲しいとお願いしたのだが、城田はバカにしたようにクスクスと笑っている。 この人に何を言っても無駄なことは分かっているのだが、一応伝えてみたが……。 「やめる訳ねぇだろ!こんなに面白いオモチャを前に我慢しろって?ムリムリ!!だから、これからもよろしく。鈴川クン」 にっこり微笑まれ、背中を痛いほどバシバシと叩かれる。この人は、本当に楽しんでいじめているんだと思った。 俺はオモチャじゃない。もうこんなのはごめんだ。 何とかしないと……。 重い腰を上げて、ふと違和感に気付く。廊下ってこんなに冷たく感じったけ。 足元に目をやれば、履いていた上履きが無かった。 しまった。知らない間にきっと城田に取られたんだ。 保健室に行くのは諦めて、来客用スリッパを取りに行く。指も痛いが、我慢して次の授業が終わってから行こうかなぁ……。

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