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第8話

「触れるだけのキス?それとも、もっと深いの?」 「ふ、触れるだけ」 「そう」 短い返事をして、ガブッと俺の唇に噛み付くようなキスをした。 俺も気が抜けていたから唇が半開きで、その隙間からすかさず先生の熱い舌が入ってくる。 どうすればいいか分からない俺の舌を絡め取って、クチュクチュと絡め合う。 キスってこんなに気持ちいいの……? もう気持ちよすぎて訳分からなくなって、先生の背中にガッチリ捕まることしか出来なかった。 「ふっ、可愛い顔。気持ちよかった?」 「……よかったぁ……」 ぽーっと気持ち良さの余韻に浸っていると、先生がクスクスと笑っていた。意地悪な笑顔じゃなく、楽しそうな笑顔でだ。 「抱かれるって事はこっち弄ってたの?」 「ひっ!」 スルッとお尻を撫でられ、ナカに指が入ってくる感覚。 グチュグチュと具合を見るかのように優しく掻き回している。 行けると思ったのかもう1本入ってきて、グッと奥まで入っているのがわかる。 「弄ってた? 柔らかいんだけど」 「い、弄ってない!」 本当は少し興味本位で少しだけ、すこーしだけ弄ってたけど……! 引かれたくなかったから咄嗟に嘘をついた。 先生はニコッとして、ふぅーん、と呟く。 「茜は嘘が下手だね。 知ってる?茜は嘘つくと左に目を逸らすんだよ」 「なっ……」 そ、それは本当か……? 確かに思い返してみれば視線を逸らす時はいつも左側だったような気がする。 先生はなんでもお見通し。嘘つくだけ無駄ってことなのか。

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