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第29話
「お家デートでいいじゃん……」
これだろ。お家デート、最近では結構流行ってる(?)んだぞ!クラスの女子も、お家デートでのんびり過ごしたいって言ってた!
しかし先生は何も喋らない。
どうしたんだろう。 勉強以外で俺と二人きりになるのは嫌とか……?
不安になって少し布団を捲って顔を覗かせると、待ってましたと言わんばかりに布団を剥ぎ取られた。
そしてガバッと俺に抱きつく先生。
一体どうしたと言うのだ。 不思議に思うも背中に手を回す。
「それは茜くんからのお誘いって事でいい? 俺は単純だから、期待しちゃうよ」
「お誘い……? 映画見たり、ゲームしたりするんだよね? 」
「……お子ちゃま」
なんだと?! お子ちゃまじゃないもん! 普通に先生と映画見たり、ゲームしたいだけだし!
と言うか、それ以外にお家デートって何するんだ?
デートとかした事ないし、他の人がデートでどこに行ってるとか何してるとか、全然分からない。
友達に聞くのも恥ずかしいけど…… 今度聞いてみようかな。
「可愛いね、茜くんは。純粋で汚れを知らないね」
「なにそれ、バカにしてる?あと、可愛い言うな!」
「可愛い」は俺にとってのNGワードだ。 男なんだから、可愛いよりカッコイイと言ってほしい。
一度も言われた事ないけど。
「じゃあ、お家デートにしよっか。 また連絡するから」
「うん」
別れの際にキスをする。
まるで恋人のように、しっとりと別れを惜しむように、ゆっくり時間をかけて。
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