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第32話

「はぁ~……美味しい……」 「よく飲めるな。寒くないの?」 「寒い!」 過ごしやすい気候になったが、やはりまだフラペチーノを飲むには早い。 寒いので鞄から持ってきたセーターを着て、また飲み始める。 すると、女子高生がキャーっと黄色い声を上げている。 誰か芸能人でも居るのだろうか。 『超かっこいい!モデルさんかな?』 『声掛けてきなよ~!』 女子高生たちの視線の先には、なんと先生がいた。 大学の帰りなのか、友達と一緒にいる。 初めて家庭教師の先生としてじゃくて、大学生としての秋月 悠誠を見た。 友達といる時はそんな顔して笑うんだ。 何話してるんだろう。楽しそうだ。 絵になるな、カッコいいな、なんて思って見蕩れていると、ポケットに入っていたスマホが震えた。 見てみると、先生からメッセージだ。 『見すぎ』 それだけの短い文章だった。 ギクッとした、バレていたのか。 一体いつからだろう…… 真紘はゲームに集中して先生の存在に気づいていない。 もう見ないでおこう。プライベートは大切、うんうん。 「はあぁ……」 「どうした」 「いや、やっぱりモテるんだなって思って……」 ため息しか出ない。 俺なんか勝ち目ないじゃん。 可愛い女の子沢山いるし、先生なら女の子選びたい放題だし。

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