55 / 222

5

* 目が覚めると朝だった。昨日夜通し抱かれていたせいか、腰が痛いし体もすごく怠い。 時計を見ればもう9時すぎ。確か陽向も今日はオフだったな。 キッチンから朝食のいい匂いがする。 ふと手に何かが嵌っている感覚がした。見てみると…… それは、左の薬指に銀色のリングが嵌められていた。 これって…… すぐに起き上がって服を着てキッチンに向かう。 鼻歌を歌いながら朝食の盛りつけをしている陽向に突進した。 「痛~、おはよう莉月」 「これ、正気か……?」 穏やかな陽向とは打って変わって、俺は切羽詰まった声色で問う。 「もちろん。 ほら、俺も付けてる」 「本当に俺でいいの……?」 「いいに決まってる。 莉月は、嫌なの?」 その問いかけはズルい。 そんなの決まっているだろう。 「嫌なわけない、だろ!」 止めどなく涙が溢れて、止まらない。 こんなに嬉しいこと今まで生きてきた中でないくらい嬉しい。 陽向はそっと涙をふいて、俺たちは深く口付けをした。 俺は幸せ者だ。 END

ともだちにシェアしよう!