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第51話

*** 『じゃあ、明日の朝10時に行くね』 昨日そう告げられ別れた。 現在朝8時半。休みなのに俺は朝から忙しなく家事をこなしていた。 洗濯物を回し、部屋の掃除を隅々までする。今日は特に念入りに掃除機をかけて、拭き掃除までした。 朝ごはんの食器を洗って、ついでに昼ごはんの支度もしておく。 簡単に済ませたいから肉じゃがにしようと思う。 一見難しそうな肉じゃがだが、野菜を切って鍋に放り込むとできる神の食べ物だ。 用事しながら作れるから、煮物系はよく作る。 別に先生と一緒に食べようと思って多めに作ってるんじゃないから。 3日ぐらいかけて食べようという計画だから。 ピーピーと洗濯機が俺を呼ぶ。 出来上がった洗濯物をカゴに移して、ベランダで干す。 後は玄関を掃き掃除して、肉じゃがが出来れば完成だ。 ウキウキなんてしてないからね。 ちょうど肉じゃがが出来上がった頃、インターホンが鳴った。 いつの間にか10時になっていた。時計を見ていなかったから分からなかった。 なんかドキドキしてきた……。 玄関まで小走りで向かい、ドアを開けると先生が立っていた。 「あ、先生おはよう」 「おはよう。お邪魔します」 先生を中に入れて、俺の部屋に連れてきた。何度も通しているのに、今日はやけにドキドキした。 いつもと変わりない部屋だが、変な所はないかとかやけに気になって仕方がない。 「これどうぞ。駅前のケーキ屋さんで買ってきた」 「あ、これ並ばないと買えないケーキじゃん!ありがとう!」 貰ったケーキを冷蔵庫に入れる為リビングに下りて、お茶を入れる。 あのケーキ、ずっと食べたいと思っていたのだ。美味しいと評判で、前にテレビ取材も来ていたと言っていた。 おやつに先生と食べよう、とルンルン気分で階段を上がった。

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