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「あー、最悪だー」 「それはこっちのセリフですけど。しかもネカマとか……完全に騙された」 「女キャラの方が素材譲ってくれたりするし、結構便利だよ」 とりあえず近くのカフェに入ってお茶する。 雪斗さんは頭を抱えてため息をついた。 俺だって残念な気持ちでいっぱいだ。 やっと俺自身を見てくれる女性と出会える思っていたのに、まさか男で知り合いの雪斗さんだったなんて考えもしなかった。 コーヒーを啜ると、口いっぱいに苦味が広がる。コーヒーとか洒落た飲み物頼むんじゃなかったな。 「でもまぁ……ちょっと安心した。 知らない人と話せるか不安だったんだ。真紘くんなら安心だ」 「それは俺も思いました。ガチガチに緊張して不安だったし」 「なんか、こんな所まで一緒だなんて……運命みたいだよね」 運命…… 俺も思っていた。 雪斗さんとは考えている事が似ているのか、行く先々で出会う。 だから急速に仲良くなったんだけど。 流石にここまでくると、運命なのでは?と思えてくる。 「ね、俺ら付き合ってみません?」 「え?男同士なのに?」 俺のぶっ飛んだ提案。 なぜ自分がこんな事を言ってしまったのか、正直分からなかった。 まぁ、断られるよな。普通に考えて。 「なんて、冗談ーー」 「いいよ」 「……は?」 「楽しそうだし、女の子と付き合うより楽そうだから。いいよ」 まさかのOKを貰ってしまった。

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