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《first contact3》
「珍しいですね。ボスがその様なことを仰るのは。あの者がお気に召されましたか?」
「あの目を見たか?」
「いえ……」
端から答えなど期待していないのか、真山の返答には須藤は特に反応を示すことはなかった。
「俺の目を真っ直ぐに見返してきた。まるで挑むようにな。あんな柔な形 をしていて、なかなか」
須藤が喉の奥で笑ったのが真山に分かった。
嘲笑といった鼻で笑うことは時折見られるものの、心底に愉快そうに感情を表すのは本当に珍しく、真山は一瞬耳を疑った程だ。
成海 佑月という男は、もしかすると須藤を変えてしまうかもしれない。
傾国の美女という言葉がある通りに、真山から見ても成海は今までの美人が霞んでしまうほどに、男ということを忘れる程に美しい。
だが須藤に限って、仕事を疎かにしてミスをするということはないと真山も断言出来る。そのような事があってはならないということは、須藤本人が一番判っていることだからだ。
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