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《first contact 5》

 そこには静かに煙草の紫煙を燻らせる(あるじ)がいた。  その目には既に真山の存在など頭にないことが分かるほどに、別の物を映していることが分かった。  きっとこの場にはいない、あの美しい青年、成海佑月を見ている。 「これほどの高揚は初めてだな」  短くなった煙草をクリスタルの灰皿に捩じ込む須藤は、言葉通りに愉快さを隠さなかった。 「明日には直ぐに動くだろう。〝アレ〟に一人付けておけ」 「はっ、畏まりました」  真山は慇懃に頭を下げてから、須藤に視線を遣った。  そこには獰猛な光が宿る目をした主がいた──。 fin

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