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長い一夜 4
食事を終え、須藤のマンションへと向かう車内。佑月の身体は心配になるくらいに固まってしまっている。
【雅】で運び屋、リアンに遭遇し、それから佑月は元気をなくしたかのように、困惑したり、不機嫌な顔を見せていた。
その中でも照れていたり、怒ったり、笑顔はまだ見せてはくれないが、佑月の表情はくるくると変わっていく。
それらを見ていてうんざりするどころか、どんな表情をしていても須藤の目には新鮮に映り、もっと見ていたいとさえ思っていた。
しかしマンションに着き、真山との挨拶を交わす佑月の姿は、今にも卒倒してしまいそうであった。
部屋に入ってからも佑月はソファに腰を下ろすも、しっかりと座れてもいない。
「何か飲むか?」
「い、いいです」
酒を勧めてやるも、佑月は首を振り断る。
もうこのまま強行手段でベッドへ押し倒し、ベッドの中で緊張を解いてやるのもいいかと思った須藤だったが。
須藤はチラリと佑月に視線をやる。
ソファはわざと隣に座らず、離れて座ると佑月は途端に少し戸惑った様子を見せた。
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