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長い一夜 5
そうして暫く須藤が黙っていると、佑月の緊張が更に増していく中で、何か苛立ちの空気を放つようになった。
須藤は内心でほくそ笑む。
これで少しは緊張が解けていくだろう。
案の定、シャワーから出てきた佑月の苛立ちは更に増している。ここでも須藤はわざと佑月には構わずシャワーへと席を立つ。
きっとその鬱憤は酒を飲んで晴らすのだろうと想像するだけで、須藤は楽しかった。
「ちょっと、一体何なんだよ!」
ついに辛抱たまらずといった体 で、佑月が須藤の前へと大股で歩いてくる。
そして手首を掴み、引っ張り上げる佑月に、須藤は少し驚いた風を装い腰を上げた。
細い肩を僅かに怒らせる佑月の後ろ姿。
それを見ていると、須藤の胸の奥で何か温かいものがじんわりと宿るのを感じた。
それはここ最近、佑月と接している時に、ふと沸き上がる感情であった。
初めこそは佑月のことは自身の傍に置いておきたいという、強い執着心と言ったものだけだった。
人に対して胸が温かくなったりと、心を動かされるなど、須藤には決して無い感情 であったからだ。
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