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《七夕》

 7月7日、七夕は節供、節日の一つ。  願いを込めて書いた短冊を笹の葉に括りつける。日本各地で目にする事が多い。  佑月も小学生の時に学校で書き、願いが叶うことを信じていたなと、事務所へと戻る道すがら、街頭の大きな笹を眺めて昔を懐かしんだ。  今日は雨。彦星と織姫が年に1度会えるという日だというのに、雨だと2人に同調し気持ちが沈む。恋人と1年も会えないなんて自分に耐えられるだろうか。あの温もりを知った今の佑月には耐えられないかもしれない。 (会いたい……)  ここ3日、須藤とはまともに顔を合わせていない。一緒に住んでいるのにすれ違いの日が続いている。今夜も遅くなると言っていたから会えないだろうと、辿り着いた事務所のソファにどっかりと沈むように腰を下ろした。 「はぁ……そろそろ滝川さんが迎えに来てくれるな……」  誰もいない部屋に戻るのは気が重い。今まで一人暮らしが長かったくせに、もう今では1人が寂しいと感じてしまう。随分と女々しくなったものだと佑月は1人苦笑をもらした。

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