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【佑月birthday SS ③】

「佑月ちゃんは、あたしの大事な友人でもあるんです。本人が同意してるならあたしだって邪魔はしません。でもそうじゃないし……」  珍しくサナエの口調が客に対するものではないなと佑月は感じながらも、その温かい言葉に胸を打たれた。 「おいおい人聞きが悪いなぁサナエ。それじゃ、オレが悪者みたいに聞こえるじゃないか。オレはただ飲みに誘ってるだけだぞ? なぁ?」  金森は悪びれることもなく佑月に同意を求めてくる。そんな男に佑月の眉が僅かに寄る。 「それに佑月ちゃんには──」 「やだっ」  サナエが再び口を開いたとき、ママの悲鳴に似た驚く声がそれを遮った。皆が一斉に何事かとママに注目する中でも、明らかに店内の空気が変わったことは誰もが感じたはずだ。そして息を呑む。 「つっ……!」  金森が突如と苦悶の声を上げる。佑月の腰に回っていた腕が離れたのは、いま佑月の背後に感じる気配の主のせいだ。 「俺のものに、気安く、汚い手で触れるな」 「っ……痛……離せ……」  大の男が顔を真っ赤にさせているのは、相当の痛みがあるからだ。ギリギリと腕を捻り上げられ、骨が砕けてしまいそうな程に手先が変色している。金森が苦しむなか、佑月は背後の男によってスツールから下ろされ、身体を引き寄せられた。 「仁……何でここに」  佑月は心底から驚き、須藤の顔を見上げた。その鋭い眼光は金森に据えられたままだ。  その中で、店内のレディらは須藤の登場に色めき立っている。みな口々に〝須藤さま〟と頬を赤く染めている。どの界隈でも須藤の存在は大きいのだと佑月は実感した。

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